「ドラえもん のび太のひみつ道具博物館」あの鈴に隠された秘密がわかる


サザエさんやドラえもんは、国民的な長寿アニメで、声優を交代して続いています。サザエさんは町子先生、ドラえもんは藤子先生です。なにそれ。
とにかく、ドラえもんの映画といえば、春休み作品の定番として、すでに40作近くが製作されているわけです。観客の動員数も、多少の上下動があるものの、長寿作品としては異例の人気をキープしています。それどころか、ここ最近は過去の記録を更新する勢いでヒットしているのに驚かされます。大山のぶ代という代名詞が交代した当初こそ、賛否はあったようですが、今では水田わさびのドラえもんしか知らない人も増えています。
いわゆる新生ドラえもんシリーズになって一番変わったのは、表情の豊かさです。オールドドラえもんはセル画から始まったことで比較的枚数を制限して作られ、顔筋はそこまで柔軟に動いていません。原作のドラえもんを全く読んだことがないという人は知らないでしょうが、ドラえもんはかなりぶっ飛んだ表情をすることがあります。藤子・F・不二雄の画力の素晴らしいところで、奇妙奇天烈な姿が多々登場するのです。この辺りの再現と、今時のドラえもんへの転換をイメージしたのか、新生ドラえもんはコミカルな表現が増えています。

映画版に関して言えば、声優交代からの第2期は旧作のリメイクからスタートして、以降はオリジナル新作が2作ほど続くと旧作リメイクを作る感じで公開されるスタイルになっています。
40年近いシリーズで、すでに見る側でも世代交代していることから、親子で見ても楽しめるのがポイントです。
映画「クレヨンしんちゃん」と同じく、大人も感動できる作りが心掛けられてきている気がします。

ひみつ道具にスポットを当てるストーリー

2013年に公開された今作は、通算で33作目、第2期としては第8作目になります。映画ドラえもんは第1作「のび太の恐竜」が1980年公開で、それから毎春公開されてきて、第2期に入るところで1年だけ間が空きます。そのため、第2期以降は西暦の二桁に20を足せば通算数が出るというのが豆知識です。
はい、使いどころない知識ですね。

物語はタイトルのように、ひみつ道具の歴史や素材にスポットが当てられています。また、ドラえもんの首輪に付いている鈴がキーアイテムとなります。この鈴が盗まれ、のび太はドラえもんの出したシャーロックセットを使って犯人を捜します。
実は、怪盗デラックスによる犯行予告状が届いていたのですが、これには気付かずストーリーは進んでいきます。もっとも、これがわかっていたところで、怪盗デラックス自体がのび太の周りでは知られていないため、大勢には影響がなさそうです。
手がかりレンズが示したのは、ひみつ道具博物館。ドラえもんとのび太、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫の面々は、ドラミちゃんの助けを借りてひみつ道具博物館へと向かいます。

ドラえもん映画のお約束

ドラえもん映画には幾つかのお約束が存在します。必ずしも全ての作品に登場するわけではないものの、マンネリではなくお約束として、出てくると思わずニヤリとしてしまうシーンです。
例えば、一時は原作でもフィーチャーされたものとして、大長編の冒頭、のび太が情けなくも叫ぶ「ドラえも~ん」がメインタイトルになるというのがあります。今度はどこでこの叫びが出るのかをワクワクと待ったものです。

また、ドラえもんがひみつ道具を使えてしまうとピンチを作りにくいので、様々な方法でひみつ道具、つまりは四次元ポケットが使えないようにするのも定番です。もちろん、最終的にはひみつ道具で一発逆転するわけで、それがまた映画的カタルシスになるのでした。
今作は、ひみつ道具の博物館が舞台ですから、周りにはたくさんのひみつ道具が溢れています。ただ、肝心な道具は怪盗デラックスが盗んでいたりして使うことができません。頼みの綱の四次元ポケットもお約束通り使えなくなるのですが、何故かというところは映画を見てみてもらいたいと思います。やや苦し紛れな気もしつつ、子供にもわかりやすくなっていて、笑いのポイントにもなった理由付けがされています。

一緒に冒険する仲間

映画になるとジャイアンやスネ夫が、というか主にジャイアンが頼もしい仲間になるのはフォーマットです。加えて、映画ならではのゲストが仲間に加わります。宇宙開拓史のロップルくんとチャミーのように男の子や女の子+マスコットキャラクターという組み合わせや、海底奇岩城のバギーちゃんをはじめ、宇宙人や不思議な生物の時もあります。時には出来杉くんがスーパーバイザーのポジションで加わるなど、オールスターチームの様相を呈しているのです。

今作で仲間になるのは、偉大な発明家になることを目指すクルトと、彼が作り出したポポンです。クルトが作り出した道具は、どれも不完全で頼りないものながら、ポケットを使えないドラえもんたちを助けてくれます。ポポンの見た目は、藤子不二雄作品が好きな人であれば、すぐにピンとくる造形となっているのも目配せが効いています。

水戸黄門が毎回必ず印籠で解決する安心展開のように、ドラえもんもハッピーエンドに向かって親子共々ハラハラドキドキワクワクしながら安心して観ることができる映画です。

作品情報

原題:映画 ドラえもん のび太の秘密道具博物館(2013)
監督:寺本幸代
声の出演:水田わさび 大原めぐみ

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