15歳未満の鑑賞お断り、過激ミュータントアクションムービーの第2弾。バラバラになっても死ねないアンデッドヒーローが、友達とファミリーを求めて戦いに臨みます。セリフには映画ネタが満載で、思わずニヤリとしてしまうこと間違いありません。音楽も最高で笑えてデートムービーに最適かもしれませんが、日本刀使いのヒーローだけに体のパーツは飛びまくると宣言しておきます。
以下のあらすじには映画後半までの大まかな展開が記されています。鑑賞前にネタバレされたくない人は読み飛ばすなどしてご注意ください。
あらすじ
恋人を殺され自分を責め、後を追おうとするも死ぬことができないデッドプール。X-MENの一員であるコロッサスに館に連れてこられ、見習いとしてチームに参加する。
早速向かった現場で暴れていたのは、炎を使うラッセルという少年。彼は自分を虐待した施設の所長らを殺そうとしていた。ラッセルの暴走を止めるため、X-MENのルールを破り職員を殺したデッドプールは、ラッセルとともに捕まってアイスボックスと呼ばれる監獄に収監される。
能力を封印する首輪を付けられてしまったデッドプールとラッセル。ラッセルはデッドプールと友達になりたがるが、デッドプールはもともと患っていた癌が進行するのに任せて死のうとする。そこに現れた男・ケーブルは、ラッセルを殺そうとアイスボックスの中で暴れまわる。
騒動の中で首輪が壊れたデッドプールは能力を取り戻し、自由の身となったのも束の間、未だ収監されているラッセルを救うことこそ使命だと気付き、移送車を襲うために自分のチーム要員を募集する。
個性豊かな能力者たちでX-Forceを結成するが、やたら運のいいドミノと呼ばれる女性メンバーしか残らなかった。しかし、ドミノの活躍で移送車を奪取し、再度襲ってきたケーブルと対決するも、同じく移送されていた強力なミュータントのジャガーノートが出てきて、意気投合したラッセルと去っていってしまう。
ラッセルが所長を殺せば、味をしめて、将来ファイヤーフィストと呼ばれる能力者になって世界に災厄をもたらし、ケーブルの妻子を殺すことになると知ったデッドプール。そこで、ケーブルと協力してラッセルを救うことにする。
ラッセルと共にいるのは凶悪なジャガーノートなので、コロッサスたちX-MENに声をかけに行くが拒絶されてしまう。仕方なくデッドプールはドミノとケーブルの三人で施設に乗り込むことにする。ジャガーノートが優勢となる中、コロッサスたちが助けに現れる。
デッドプールはラッセルの復讐心を抑えることができるのか。
マーベルのデッドプール
マーベル・コミックは数多くのヒーローを生み出してきたアメコミ誌で、バットマンやスーパーマンのDCコミックスと双璧をなしています。DCに比べると明るめのストーリーが多いとされていて、中でもデッドプールに関してはおしゃべりかつツッコミも多いなど、コミカルな作風が特徴です。
そもそもはX-MENの中に登場したキャラクターであり、ウルヴァリンの能力が用いられて再生能力が高く、「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」で一躍有名になったサノスとも関わりがあって不死となっています。
おまけの情報として、今作で登場する未来からの使者ケーブルを演じるジョシュ・ブローリンは、サノスも演じています。そして、一瞬しか姿を見せないX-MEN “The Vanisher“としてブラッド・ピットが出演しています。
さておき、マーベルキャラクター自体は、80年近い歴史を誇るコミックに様々な形で登場する中で、膨大な設定や繋がりがあり、映画化に関しては映画版のキャラクター設定が与えられています。さらに、スパイダーマンやハルクのように映画がリブートされた作品もあるため、現在はアベンジャーズが活躍するマーベル・シネマティック・ユニバースと名付けられたシリーズがベースとなります。
X-MENのシリーズはまだアベンジャーズと積極的なクロスオーバーをしていませんが、スカーレット・ウィッチはアベンジャーズの主要キャラとして登場していますし、今後はX-MENキャラも増えていくことと思われます。
デッドプールは前述のようにX-MENにルーツがあるものの、映画「ウルヴァリン :X-MEN ZERO」に登場したデッドプールと名乗る人物は、同じライアン・レイノルズが演じていても別の存在です。その後、改めて「デッドプール」として映画化された際は、なぜデッドプールとなったのかというところから描き直されています。
ただし、デッドプールのキャラクターからすれば、リブートさえも含めて観客を煙に巻いている面もありそうです。
味方も敵も、時には観客さえも茶化しているデッドプールは、一見不真面目そうで実は真摯な面があります。映画の中で指摘されるように、窮地であってもユーモアを繰り出せる余裕があると見るべきなのでしょう。彼もまた間違いなくヒーローなのです。
第四の壁とは
デッドプールは観客に語りかけます。そのためには第四の壁を取り払う必要があります。第四の壁とは、左右と奥の三方を囲まれた中でおこなう舞台演劇が元になった言葉で、手前の観客側に仮想の壁があるとする考え方です。
デッドプールは容易く第四の壁を破ってきますが、これはコミックの頃からおこなわれているデッドプールの代名詞でもあります。なので、デッドプールとセットで語られることが多く、今更なので、ここでは他の映画と第四の壁について見てみます。
ちなみに、メタフィクションという用語も第四の壁に近い概念ですが、フィクションの中で現実に関しての表現をするのがメタフィクションで、言わば大枠であり、その中に第四の壁もあるとイメージしてもらうと分かりやすいと思います。
映画と第四の壁の関係でおそらく最も有名なのは、ウディ・アレンの監督作でアカデミー賞も受賞した「アニー・ホール」ではないでしょうか。ウディ・アレンは自らの監督作品に主演することが多々あり、「アニー・ホール」にも出ています。作中、彼が幾度も観客に向かって問いかけるのが印象的です。
さらに、ストーリーとしてはメタフィクションがテーマの一つとなる「ネバーエンディング・ストーリー」において、「はてしない物語」を読むバスチアンに第四の壁を破った幼ごころの君が語りかけます。
あるいは、ジャパニーズホラーの金字塔的作品となった「リング」におけるクライマックスの貞子は、スクリーンの中で見事に第四の壁を超えています。今ではパロディになることも多く、如何にこの登場がショッキングであったかを物語っています。
作品情報
原題:DEADPOOL 2(2018)
監督:デヴィッド・リーチ(David Leitch)
出演:ライアン・レイノルズ(Ryan Reynolds) ジョシュ・ブローリン(Josh Brolin)
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