「ラスト・シャンハイ」に見る愛と絆、男が最後に選ぶのは!

ラスト・シャンハイ
愛ゆえに身を引いた男の前に、再び過去の女が現れた時、今の愛を取るのか、昔の愛を取り戻そうとするのか。一見すると身勝手な男の物語といったところですが、女の側にも言い分は色々とあるのです。命を賭けるのに男も女もないのだと、信念のために突き進む人たちが教えてくれます。
うーん、アツい映画を見るとアツい言葉が並んで困ります。

あらすじ

1910年代、上海に出て立身出世を夢見るダーチーと、北京で京劇役者になりたいジーチウは将来を誓った仲だが、ダーチーは濡れ衣で投獄させられてしまう。ダーチーの窮地を救ったのはマオ・ツァイという軍人。ダーチーはジーチウのもとに急ぐが、彼女は父と共に北京へと発った後だった。
上海に出たダーチーはマフィアを仕切るホンに気に入られ、組織の中で力をつけていく。ダーチーは力だけでなく、経営的にも組織を大きくしていき、表社会にも通じるように変革させていった。

1930年代、上海は日本軍の侵攻が目前に迫り、国民軍に反発する地下組織の抵抗も活発となっていた。国民党の将軍となったマオは、ダーチーに対する昔の恩を貸しとして、ホンをもコントロールするのだった。
そんな中、念願を叶え京劇スターとなったジーチウがダーチーの前に現れる。ジーチウは結婚しており、夫は地下組織の幹部だった。互いの立場から公には会えないダーチーとジーチウだが、ダーチーは腹心の部下であるリンに命じて、ジーチウを密かに守らせる。
ついに日本軍が侵攻を開始し、上海事変勃発の最中、ダーチーはジーチウと夫を助けて逃亡させるべくマオ将軍のもとを訪れる。条件として恋人のアーバオを要求されて苦悩するダーチウだが、アーバオは提案を承諾する。

1940年代、一度は香港に潜伏していたダーチーが、再び上海へと帰ってくる。マオ将軍は日本軍に寝返って権勢を思うままにしており、ダーチーの兄貴分であるマフィアのホンは廃人同然となっていた。腹心の部下だったリンも今ではマオ将軍の配下となっているなど、すべては変わってしまっていた。マオはダーチーの影響力を使って傀儡政権を作ろうと、ダーチーを上海市長に据える。
市長となったダーチーは、マオや日本軍の上層部を招いたパーティーを主催する。演目である京劇の舞台で主演を務めるのはジーチウ。レジスタンス活動を続けていた夫は日本軍に捉えられていたが、劇の最中、密かにダーチーの一味が奪還作戦を決行する。
作戦に感づいたマオは、ジーチウを盾にしてダーチーに降伏を迫る。

愛と忠義の物語

中国映画や香港映画はアクションに目が行きがちですが、なかなかどうしてドラマチックなものが多かったりします。ジョイ・ウォンが美しい「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」も、カンフーアクションやファンタジー描写がメインながら、テーマは人と幽霊との美しい愛なのです。
「ラスト・シャンハイ」では、幾重にもからまった愛によって、激動の時代の物語が紡がれています。縦糸となるのは間違いなくダーチーとジーチウのストーリーです。ただ、アーバオの存在も忘れがたいものがあります。観てる側が当初は単なる愛人くらいかと思っていたところ、ダーチーでさえ気づかなかった愛の深さを知ることになります。

男同士の絆も見逃すわけにはいきません。ヤクザものやマフィアものには義兄弟やボディーガードが出てきて、まさに命をかけた絆の見せ場が展開することが少なくありません。アツい漢は、言葉ではなく目で語り合います。
ダーチーと地元にいた頃から一緒の友達は、ラストまで行動を共にすることになりますし、映画のハイライトのひとつとなるのが、配下であるリンが全てを賭けてダーチーに尽くす様です。
この種の物語が好きな人であれば、ジョニー・トー監督の「ザ・ミッション 非情の掟」あたりは外せない一本ではないでしょうか。

デブゴンこと洪金寶

大人になったダーチーを演じるチョウ・ユンファと言えば、「男たちの挽歌」をはじめとした香港のノワール映画を背負ってきた役者です。その作品で組んだ監督のジョン・ウー共々、ハリウッドでも名を知られる活躍をしています。
しかし、香港映画となるとカンフーを外すわけにはいきません。そこで名が挙がるのはジャッキー・チェンジェット・リーであり、サモ・ハン・キンポーです。サモ・ハン・キンポーというユニークな響きの名前もさることながら、その体躯からは想像できないような華麗なアクションで魅せてくれます。
ジャッキーやユン・ピョウとは幼少期からの知り合いで、兄貴分として慕われていました。サモ・ハンの名でハリウッドにも進出して、テレビドラマでは当たり役も得ています。
サモ・ハン・キンポーが主演して有名になった映画に「燃えよデブゴン」があります。ブルース・リーに敬意を表して制作され、「燃えよドラゴン」などへのオマージュが散りばめられています。他にもデブゴンのシリーズはたくさんあるものの、それらは邦題で勝手に付けられたものであり、シリーズでもなんでもないので注意が必要です。

作品情報

原題:大上海 THE LAST TYCOON(2012)
監督:バリー・ウォン
出演:チョウ・ユンファ ユアン・チュアン


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