「バード・ボックス」の親子は世界的な怪現象の中を生き抜けるのか


突然崩壊する世界の中で原因もわからないまま、親子は無線から聞こえてきた安全地帯を目指します。目隠しを外すことができない状況で目的地に辿り着くことができるのか。未知なる恐怖の追撃にドキドキが止まりません。

何かしらの情報を求めて辿り着いた人が多いかと思うので、あらすじにはネタバレも含まれます。未見で先を知りたくない人はご注意ください。

あらすじ

母親と幼い兄妹が、目隠しをしたまま手漕ぎのボートに乗って川を下り始める。

事の起こりは5年前。シングルマザーの状態で出産を控えていた画家マロリーのアトリエに妹が訪ねてくる。彼女は世捨て人のような姉に、世界各地で原因不明の大量自殺パニックが発生していると伝える。
病院での検診を終えた帰り、マロリーはパニックが町に発生したことを知る。妹も何かが伝染したかのように自殺しまい呆然とする中、近くの一軒家へと避難するマロリー。家の中には家主のグレッグを始め、嫌味なダグラスなど数人が避難していた。
外の世界で何かを見てしまうと自我を失って死ぬことを知った彼らは、窓に目張りをして閉じこもる。最後にオリンピアと名乗る妊婦が逃げ込んできてからしばらく、家の中はギリギリの秩序を保っていた。監視カメラで外の状況を確認しようとしたグレッグはモニター越しに何かを見て死んでしまう。
家から出ずに過ごす一同だが食料が尽きてしまう。自称小説家のチャーリーが働いていたスーパーに食料を取りに行くことにしたマロリーたち。チャーリーを失いながらも食料を補充して帰宅するが、若いカップルが車を奪って逃げてしまった。
ある日、家にゲイリーと名乗る男が逃げてくる。ダグラスは彼を怪しんで殺そうとするが、皆は反対に粗暴なダグラスを車庫に閉じ込めてゲイリーを受け入れる。マロリーとオリンピアが同時に産気づき出産したところで本性を現すゲイリー。
隔離病院にいた闇を抱えた患者たちは外の世界を見ても自我を崩壊させるどころか、むしろ生き生きとして一般人を殺して回っていた。ゲイリーもその一人であり、家の中の人たちが皆殺しにあっていく。
産んだばかりの子とオリンピアの子を守るマロリーにゲイリーが迫る。寸前のところでトムに助けられるマロリー。

それから5年。外に出る時は目隠しをし、闇を抱えた者からも身を隠しながらなんとか生き延びてきたマロリーたち。初めて無線から声が聞こえ、川を下った先に人々が逃げて暮らしているコロニーがあると知ったが、目隠しをして子供達を連れたまま急流を下ることに躊躇するマロニー。
しかし、闇の者たちの襲撃でトムを失い、ついにマロニーは川にボートを出す。
激流に流されながらも川を下り、何かの気配が迫る中を走り抜きコロニーにたどり着いたマロニーと子供たち。
そこは盲学校で、教師や生徒、そして僅かながらも避難してきた人たちが平和に暮らしていた。

好まれるパニックパターン

体裁としてはよくある流れで、ウイルス感染やゾンビ系などの終末世界系とでも申しますか、脅威から逃げて安息の地を目指すことになります。戦う相手がはっきりしていない本作では根本的な解決策が示されることはありません。
ウイルスものや宇宙人侵略ものであれば殲滅がわかりやすい解決になるものの、明快な解決に至らないので安穏な生活が長く続くのか、映画の続きは想像するほかない状態です。その意味でカタルシスの度合いが下がるとはいえ、続編の楽しみは生まれます。
作品がヒットすれば、まだ何も解決していない世界の状況を救う続編が生まれるかもしれないですし、あるいは事象が世界レベルなのを生かしてスピンオフ的な別の主人公の視点によるアナザーストーリーを構築することも可能です。

とはいえ、当然ながら一本の作品として見た時の満足感を得ることはできます。なぜ目隠しをしながら川を下り始めたのかが徐々に判明していき、無事にゴールへ辿り着けるのかという最大の目的があるからです。
目の肥えた人にとっては過去作のいいとこ取りのように見えるかもしれませんが、NETFLIXが全世界のユーザーに広く見てもらおうと制作した作品としては十分に目的を果たすだけの引きがある作品です。

タイトルのバード・ボックスは、劇中で怪異が迫ると鳴き騒いで知らせてくれる小鳥を入れている箱を指しています。ラストで少し大きくなったバード・ボックスにあたる状態が出てくるので、それらを含めた意味とはわかりますが、むしろそれだとバード・ケージの方がしっくりきたりします。
原作を読むともう少しいろいろな謎解きがなされているのかもしれません。

ネタ元とも言えるような作品群

改めてネタバレ的な検証をしてみると、果たして本作の事象の原因はどこにあるのでしょう。怪異から逃げるには建物や乗り物の中に入ればいいのですが、一歩外に出たり、あるいは窓から直接を外を見ると感染してしまいます。感染と言ってもウイルスの類ではありません。
少し前に公開された「スカイライン -征服-」の導入はこれに近いものがあります。もっともこちらはある光を目にすると変貌するわかりやすさがあります。さらに続編の「スカイライン 奪還」になってくると対象の宇宙人像もはっきりとしてきて理由付けも見えてきます。
視覚を奪われる点では「ブラインドネス」というカナダ、日本、ブラジルという三カ国の合作映画が思いあたります。この作品は視界がホワイトアウトしてしまう失明状態なので「バード・ボックス」とは多少違います。

もちろん、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」を起源とするゾンビ映画や感染伝染系のパニック映画となれば枚挙にいとまがありません。さらに遡ればリチャード・マシスンの有名な小説「I Am Legend」に行き着くわけで、これはタイトルからわかるようにウィル・スミスの主演した「アイ・アム・レジェンド」の原作となります。この小説を原作としたものは他にも「地球最後の男」など3作あります。
このマシスンの原作は吸血鬼の設定だったのに対して、「アイ・アム・レジェンド」はウイルスが原因と翻案されています。これなどはまさにラストで安息の地となるコロニーを目指すあたり、「バード・ボックス」との類似性が見受けられます。

少し趣を異にするところでは、アレックス・プロヤスの監督した「ノウイング」も本作が好きな人には刺さるところがありそうです。「ノウイング」は予言がポイントになるものの、やはり不可解かつ不可抗力的な死が人々を襲う中で主人公が子供を連れて立ち回る物語となります。
このようにSFやパニックホラーなどの類似作はたくさんあるので、自分なりの一本を探してみるのも映画の楽しみ方の一つだったりします。


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豪華な出演者たち

ネット配信で映画やドラマを見る人が増えています。プラットフォームとなる各社は登録料で莫大な資金を得て、自社でコンテンツの開発をおこなうようになります。国内でもそうですし、amazonやNETFLIXなどワールドワイドな企業だと使える資金はさらに膨れ上がります。このシステムはアメリカのケーブルテレビネットワークがドラマに大枚の制作費を注ぎ込めるのに似ています。
資金があれば作品の内容を濃くできるだけでなく、キャストへ支払うギャランティーもランクアップできます。だからというわけだけではないですが、「バード・ボックス」にも豪華な俳優陣が出演しています。

主演は言わずと知れたサンドラ・ブロックです。今やプロデューサーとしても活躍する彼女は、アメリカンフットボールの実在の選手の半生を描いた「しあわせの隠れ場所」という2009年の映画でアカデミー賞の主演女優賞を受賞しました。また、2013年の「ゼロ・グラビティ」でも主演としてオスカーノミニーとなったほか多くの賞で受賞したり候補になったりしました。
逃げ込んだ一軒家でヒール的な役回りを演じていたジョン・マルコヴィッチもまた名優です。賞レースの常連であり、オスカー獲得には至っていないものの、「プレイス・イン・ザ・ハート」「ザ・シークレット・サービス」の2本でアカデミー賞の助演男優賞候補に挙がっています。
スパイク・ジョーンズ監督の「マルコヴィッチの穴」ではタイトルに名前が使われるほど、欧米では知られた映画界のキーパーソンの一人です。
さらにマロリーの恋人になるトムを演じたトレバンテ・ローズは、日本ではまだあまり知名度が高くないながら、バリー・ジェンキンス監督による2016年の映画「ムーンライト」で主演のシャロンを演じて各賞を賑わせました。「ムーンライト」はアカデミー賞で作品賞、脚色賞、助演男優賞を受賞しています。

必ずしも賞に絡むことが名優の証だとは言い切れませんが、指針となるのは確かです。実際、これらの人たちの演技は各作品で味わい深いものとなっています。

作品情報

原題:BIRD BOX(2018)
監督:スサンネ・ビア(Susanne Bier)
出演:サンドラ・ブロック(Sandra Bullock) トレバンテ・ローズ(Trevante Rhodes)


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